日曜日。朝。

僕は寝不足だった。緊張して眠れなかったのではない。深夜に『ダイの大冒険』が読みたくなり、全巻読んでしまったからだ。終わったのは朝の4時。「ポップ最高!」などと言いつつ就寝。
もし寝坊したらやばいと思いつつ寝坊。幸い、ギリギリ電車の時間に間に合い、11時集合なのに10時55分に着く。
ここまでで問題はない。強いて言えば電車で目の前にいたデブカップルの顔がそっくりで兄妹か、と思った事くらいだ。しかも、そのデブカップルは僕にアツアツっぷりを披露してくれる。目が腐った。
そして、急いで鈴鹿桜さんの元へ。青い服を着ているという事なのでそれを目印に探す。すると青い服を着た、どう見てもオッサンな人を発見。
「まさかこのオッサンがそうなのか・・・?」
声をかけようか迷った。しかし、踏み止まった。もし間違ったら・・・!そう考えると怖くて声などかけられない。
その判断は正解だった。その死角に隠れていた人が青い服を着ている。競馬新聞を読んでいる。間違いない、声をかけてみよう。
「あの・・・すいません・・・」
なんて小さい声。こんなのではかけられた方も驚く。しかし、その青い服を着た方は
「あ・・・暖かい風さんですか?」
「はい、そうです」
ビンゴ。しかし、この過程までが物凄く情けない。こちらが誘ったのにまるで誘われたかのような態度。だが、今はそんな事を反省してる場合ではない。
その後、多少気まずい雰囲気になるも、やはり「趣味が競馬」という共通点は武器となり、話は和んでいく。
「そうだ、これでいい・・・!」
なんて自分に言い聞かせながら2人はバスに乗る。当たり前の話だが、バスに乗るのはオッサンばかりだった。
ちなみに、鈴鹿桜さんはハーフパンツだった。僕は失礼ながら聞いた。「その格好だと子供に見られませんか?」と。
本人の話では問題ない、と言ってた。実際問題なかったのでこの話は僕の勘違いだったというを事を記しておく。
ここまでの話で僕がかっこいい事をした記憶なんて1つもない。もしこれがデートならば女の子は途中で帰ってしまうかもしれない。それ程僕は印象が良くない行動をしていた、と当時を振り返る。
バスが着くまでの間、ますざぶトーク。「末端のキネーンのネタは面白かったですねー」などと談笑しているうちにウインズに到着。はっきり言うと自転車でいつも通っているところなので慣れているはずだが、人込みに慣れていないので少しビビっていた。これまた情けない。
更に、僕は何も持って行かず(携帯電話と財布のみ)用意周到な鈴鹿桜さんを見て「やっぱ持っていけばよかった!」と後悔。その後、予想用にスポーツ新聞を買うのだが、ずっと持っているのも変だと思ったので鈴鹿桜さんのバッグに入れてもらう。ちょっとだけ申し訳ない気持ちでウインズの中へ。その際、周りには「いかにも高校生」というか、「平成生まれ」達が普通に中へ入ってた。僕は高校の頃、捕まるんじゃないかとビクビクしてたのに平成生まれ達は堂々としていた。やはり平成生まれは違う。
そして、丁度ウインズに入った時点で時刻は12時を過ぎていた・・・